関西健康科学専門学校
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(社)日本柔道整復師会近畿学会発表報告
腰痛の有無と腰部背筋断面積との関係
-MRIによる検討-
関西健康科学専門学校 木村道子
教員:池尻 稔明/澤 卓実/中村 満/市橋 研一(市橋クリニック)
教員:池尻 稔明/澤 卓実/中村 満/市橋 研一(市橋クリニック)
はじめに
健常者における腰部のMRI所見を得るために、関西健康科学専門学校の学生を対象に撮影希望者を募集した。募集は腰痛の無い者を集めることを意図して行ったが、腰痛を起こしたことが無いという学生は少なく、結局撮影希望者の半数以上(58%)が腰痛を有していた。これらの学生のMRI画像を、腰痛が有るグループと腰痛が無い(未経験)グループに分け比較検討したところ、大腰筋や固有背筋の断面積に興味深い所見を得たので報告する。
方法
MRIによる撮影は、L4/5椎体高位の水平横断面をT2強調像にて大腰筋・固有背筋断面積を計測。レントゲンによる撮影は、仙椎傾斜角、腰椎前弯角はレントゲン画像で測定した。
結果
対象は当校学生31名(男性22名、女性9名)で、平均年齢は男性33.1歳±7.9歳、女性37.1歳±7.7歳である。問診で腰痛の有無を確認し、現在腰痛を有する者と既往の有る学生には、現病歴、既往歴、現症などを聴取した。
表1 大腰筋・固有背筋の断面積(左右平均値)ならびに大腰筋/固有背筋比
男性の代表例
図4 腰痛の有無と大腰筋・固有背筋面積と大腰筋/固有背筋比 MRI画像 T2強調(L4/5高位横断面)
女性の代表例


腰痛群を仙椎傾斜角35度未満と35度以上で比較したところ、それぞれ平均値で35度未満が大腰筋1618.9m㎡、固有背筋2415.5m㎡。35度以上が大腰筋1819.5m㎡、固有背筋2958.7m㎡であり、仙椎傾斜角35度以上の方が35度未満より大腰筋断面積が大きく、なおかつ腰椎前弯角も大きいことを認めた。
腰痛無し群では仙椎傾斜角の増大と筋面積の増大に関連性はみられなかった。
中村ら1)は腰仙角が増大すると前弯角が増大し大腰筋に負荷がかかると報告している。これと同じように仙椎傾斜角の増大でも前弯角が増大し、大腰筋に負荷がかかり筋肉の断面積増加につながった可能性が示唆される。

対象者31名のうち、腰痛を有する者(既往含)は男性13名、女性5名。腰痛の無い者(未経験者)は男性9名、女性4名であった。
大腰筋断面積の平均値では、腰痛有グループ(男性1696.1m㎡、女性851.9m㎡)の方が腰痛無グループ(男性1607.2m㎡、女性839.3m㎡)より大きい傾向があり、腰椎椎間板ヘルニアや慢性腰痛症では大腰筋の萎縮が出現するとする他の研究報告2)3)と相違がみられた。
したがって、日常生活に支障がなく、通学できる程度の腰痛であれば大腰筋の萎縮はさほど出現しない可能性が示唆された。さらに、これらの腰痛グループを仙椎傾斜角35度以上と35度未満で比較したところ、35度以上の方が35度未満に比べ大腰筋断面積が大きく、なおかつ前弯角も大きいことを認めた。以上により、腰椎前弯角の大きな腰痛例では、大腰筋増大につながる筋肉への負荷が生じている可能性が示唆された。また、大腰筋/固有背筋比では、腰痛有グループ男性0.65、女性0.45と女性は男性に比べて著しく小さい結果であったが、腰痛無グループでも男性0.67に対して女性0.42と同様の傾向があることから、女性の大腰筋/固有背筋比の小さいのは腰部における男性と女性の体格の違いや体力の相違の結果であると考えられた。
図5 腰痛の有無と大腰筋・固有背筋面積と大腰筋/固有背筋比 MRI画像 T2強調(L4/5高位横断面)
図6 腰痛例における仙椎傾斜角と大腰筋・固有背筋断面積との関係
腰痛群を仙椎傾斜角35度未満と35度以上で比較したところ、それぞれ平均値で35度未満が大腰筋1618.9m㎡、固有背筋2415.5m㎡。35度以上が大腰筋1819.5m㎡、固有背筋2958.7m㎡であり、仙椎傾斜角35度以上の方が35度未満より大腰筋断面積が大きく、なおかつ腰椎前弯角も大きいことを認めた。
腰痛無し群では仙椎傾斜角の増大と筋面積の増大に関連性はみられなかった。
中村ら1)は腰仙角が増大すると前弯角が増大し大腰筋に負荷がかかると報告している。これと同じように仙椎傾斜角の増大でも前弯角が増大し、大腰筋に負荷がかかり筋肉の断面積増加につながった可能性が示唆される。
図7 仙椎傾斜角と大腰筋・固有背筋断面積との関係
考察対象者31名のうち、腰痛を有する者(既往含)は男性13名、女性5名。腰痛の無い者(未経験者)は男性9名、女性4名であった。
大腰筋断面積の平均値では、腰痛有グループ(男性1696.1m㎡、女性851.9m㎡)の方が腰痛無グループ(男性1607.2m㎡、女性839.3m㎡)より大きい傾向があり、腰椎椎間板ヘルニアや慢性腰痛症では大腰筋の萎縮が出現するとする他の研究報告2)3)と相違がみられた。
したがって、日常生活に支障がなく、通学できる程度の腰痛であれば大腰筋の萎縮はさほど出現しない可能性が示唆された。さらに、これらの腰痛グループを仙椎傾斜角35度以上と35度未満で比較したところ、35度以上の方が35度未満に比べ大腰筋断面積が大きく、なおかつ前弯角も大きいことを認めた。以上により、腰椎前弯角の大きな腰痛例では、大腰筋増大につながる筋肉への負荷が生じている可能性が示唆された。また、大腰筋/固有背筋比では、腰痛有グループ男性0.65、女性0.45と女性は男性に比べて著しく小さい結果であったが、腰痛無グループでも男性0.67に対して女性0.42と同様の傾向があることから、女性の大腰筋/固有背筋比の小さいのは腰部における男性と女性の体格の違いや体力の相違の結果であると考えられた。
まとめ
参考文献
1)中村裕樹,部屋太輔,八反丸健二:年齢と腰仙角が及ぼす影響について.理学療法学,34:255,2007.
2)牧野孝洋,細野昇,向井克内,三輪俊格,冨士武史:腰椎椎間板ヘルニアにおける患側大腰筋の萎縮.臨床整形外科 44:167-172,2009.
3)Muzeyyen Kamaz, Demet Kıreşi, Hasan Oğuz, Dilek Emlik, Funda Levendoğlu: CT measurement of trunk muscle areas in patients with chronic low back pain.Diagn Interv Radiol 13:144-148,2007.
- 大腰筋断面積の平均値では、腰痛有グループの方が腰痛無グループより大きい傾向がみられた。
- 腰痛例における腰椎の前弯増強は、大腰筋断面積の増加を引き起こす可能性が示唆された。
- 女性は男性に比べ大腰筋/固有背筋比が小さいことを認めた。
- 日常生活に支障がなくスポーツや通学できる程度の腰痛では、大腰筋への持続的な負荷が加わっている可能性があることから、大腰筋のストレッチなど腰椎の前弯を軽減できる方法についても今後検討していきたい。
参考文献
1)中村裕樹,部屋太輔,八反丸健二:年齢と腰仙角が及ぼす影響について.理学療法学,34:255,2007.
2)牧野孝洋,細野昇,向井克内,三輪俊格,冨士武史:腰椎椎間板ヘルニアにおける患側大腰筋の萎縮.臨床整形外科 44:167-172,2009.
3)Muzeyyen Kamaz, Demet Kıreşi, Hasan Oğuz, Dilek Emlik, Funda Levendoğlu: CT measurement of trunk muscle areas in patients with chronic low back pain.Diagn Interv Radiol 13:144-148,2007.