2010年度 柔道整復学校協会発表報告2

関西健康科学専門学校における高齢者機能訓練プログラム

―― 介護予防への取組み ――

関西健康科学専門学校 池上 友広,中井 陽一
池尻 稔明,佐々木阿悠佳,中村 満
神戸女子大学大学院 西岡 奈保,田中 紀子
神戸女子短期大学 平野 直美

【はじめに】
高齢者の生活の自立と健康寿命の伸長は社会的課題であり、介護予防には自立的・身体的・精神的・対人的QOLの維持向上が重要である。これらを高める重要な要因は、咀嚼力の保持や良好な食事摂取、さらには筋力低下を防ぐための機能訓練をはじめ適切なストレスマネジメントなどが挙げられる。
そこで今回我々は、機能訓練利用者に栄養摂取状況調査・咀嚼力判定、QOLに関するアンケート調査を実施し、介護予防への取組みについて検討したので報告する。
【方法】
 栄養摂取状況調査は対象者に食事調査票を配布し、3日間の食事内容の詳細な記載を依頼した後、聴き取り調査を行った。咀嚼力は咀嚼力判定用ガムを用い色査計により判定した。アンケートはQOLに関する17項目の質問を設定し、機能訓練に参加する前後を比較して、どの様な効果が得られたかについて5段階評価で回答を得た。
【結果】
 咀嚼力判定結果から、機能訓練利用者の咀嚼力は個人差があるものの概ね良好な結果が得られた。またデイケアを利用されている他の高齢者群や、神戸市内の小学5年生群と比較しても機能訓練利用者の咀嚼力が高いことも示された。さらに利用者の中で咀嚼力の高い群、低い群に分類して栄養摂取状況を比較すると、咀嚼力の高い群では摂取している食品数が多く、栄養バランスの取れた食事をとっている傾向があり、高齢者には好まれにくい硬い食品の摂取頻度も高いことがわかった。また咀嚼力と握力との関係にも正の相関関係を認めた。これらの結果から、良好な咀嚼力の維持は高齢期における介護予防のための重要な因子であり、継続的な機能訓練は高齢者の咀嚼力や栄養摂取、筋力の維持にも効果があると考える。
 またアンケート結果から、利用者の約81%が「生きがいを感じる」・「気持ちを明るく持つ」に機能訓練が有効であったと回答し、同様に約79%の利用者は「ストレス解消」に効果を感じていた。さらに近年問題とされる高齢者の引きこもりについても、利用者の約74%が「引きこもり予防」につながっていると回答し、機能訓練プログラムは身体的QOLのみならず、精神的QOL向上にも有効であることが示唆された。


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